中国ではドラえもんののび太少年を「康夫」と記する。福田康夫サンが総理に就任した際に、中国ではその風貌と名前で、ドラえもんののび太少年が総理になったと報じたのは記憶に新しい。その総理が就任一年を待たずに辞任である。ねじれ国会と支持率低迷が主な原因とされているが、実際はどうなんだろう。官房長官の頃から皮肉屋の側面はあったのだが、どうも「思い通りにならないから嫌だぁ〜〜〜」と政権を放擲したと言うのが本当のところに見える。
福田康夫サンが辞任会見で語ったように、参議院で与党が過半数を割ったためのねじれ国会は、必要な法案が通過するのに大変な時間がかかるという側面はあるのだが、その代わり、今までの官僚主導の族議員とのもたれ合いの結果生じていた今まで歪みが顕在化した。防衛省の調達問題、社会保険庁の消えた年金問題も、実は参議院で野党が過半数をとった結果、今まで有耶無耶にされていた問題が表立って議論されたように思うのである。
私は打たれ弱い人間だから、困った事が起きると逃げる。当然のように重たい責任を課せられる立場には立ちたくない。しかし政治家の多くは、大臣のように立身出世による栄耀栄華を求めるわけだ。当然だが、その出世に伴い責任も倍加するわけだ。それが分かって政治家になったのではないか。
福田康夫サンは福田赳夫元総理の息子である。二世議員やら三世議員のひ弱さが、今まで陰に隠され続けていた問題が顕在化してきたこの時期、耐えられぬ状態となったのではないかと思うのである。安倍晋三(同世代なので敬称を略する)の辞め方と「似ている」と評されるのは、福田康夫サンにとっては心外だろうが、しかし、打たれ弱さという点では同じ世襲議員である安倍晋三と変わらないのではないか。
そうした点では世襲議員である小泉サンは特異な存在で、あの厚顔無恥さは生来のものなのだろう。あの根拠の無い自信は、大雨で増水した川を見に行くという頑固な老人と変わらない。問題は小泉サンが総理大臣だった事で、自分一人が川に填って溺れるのではなく、国民全員を増水した急流の中に引き込み溺れさせる立場になったという事である。カリスマを持つ指導者というのは、そうした危うさを持つわけだが、逆にその危うさがブームの元となるわけだ。しかし、蟹工船が売れているような時代である。もう既に小泉サンのカリスマの魔法は解けていると信じたい。
コミックファンである麻生太郎サンが、小泉サンの後、若い人に人気がある。でも選挙はブームで行うものではない。「難しいことは分からない」などと言ってはいけない。難しい事でも立候補者政策を判断して選挙で投票するのが民主主義の基本である。実は小泉サンが行った郵政選挙の姿は、個人個人が政策を判断し、その結果の見通しを考えて投票したのではなく、ロックコンサートで無意味に立ち上がって踊る「乗らなきゃ損」というレベルでの大衆心理に因るものに見えたのである。その方向が良いものならば問題はないのだが、それが悪夢の方向に向くと、ヒトラーやらポルポトの恐怖につながるのである。そして、小泉サンの祭りの後には、小林多喜二の「蟹工船」がベストセラーになる世界が生まれたわけだ。ブームに捕らわれずに考えて投票を行う、という自明の事を失念していた日本人の自業自得と言えないこともない。








