ヘソ曲がりの与太: 自業自得にしか見えない

2008年11月19日

自業自得にしか見えない

 米国の自動車会社、つまりビッグ3が経営の危機に瀕して、米国政府に援助を求めている。そのための公聴会が開かれているようだが、果たしてどうなのか。四半期ごとの決算で業績が上がれば天文学的数字のボーナスを受け取るような経営者が、減益になったからと言って政府に救援を求めるのは明らかにおかしい。
 我が世の春を謳歌して、驚くほどのボーナスを受け取っていた経営陣が、その経営失敗のツケを政府に求めるのは、明らかに自分達の経営の失策を他人に転嫁するという事で、これをモラル崩壊と言わずして何と言うのか。
 レイオフなどで労働者の首を簡単に切るような米国の企業システムは、確かにそれなりに効率的ではあるが、その仮借ない経営方針によってホームレスにまで至った人にとっては、多分にこの救援要請は承伏できぬものだろう。ならば経営陣が今まで受けていた高額のサラリーを全部返還するのが先だ、というのは当たり前のように思える。それが経営責任ではないのか。
 史上空前の利益を上げていた時期が米国自動車産業にはあった。その利益を省エネ車の開発などに向けず、クライスラーなどはベンツの買収に向けたりした。アホである。目先の拡大だけを求めたわけだ。これは米国の会社が四半期ごとに決算をし、利益を確保した上で株主に配当を行わなければならないという近視眼的なシステムにも起因する。つまり戦略が立たないシステムということだ。
 本来戦略とは長期的な視野、幅広い知見により作り上げるものだ。局所的な戦術的勝利のみを求める株式システムの中では、世のトレンドに追随するだけで手一杯となる。エネルギー消費国としての立場はそのままという前提で構築された現在のシステムが、原油価格の高騰に伴うガソリン価格の高騰によって外圧という形で初めてその脆弱さに気付いたという事だろう。
 エネルギーの大半を輸入に頼っている我が国では、かっての石油危機の際に、そうした不具合は経験済みであるし、その当時から燃費効率を車に求めるようになった。そのための開発には時間と人材を割いたのである。その日本の自動車産業の雄であるトヨタでさえ、昨今の金融危機で業績が悪化している。野放図にガソリンをばらまいて走るアメ車が売れないのは当然である。
 考えて見ると現在の金融危機は日本のバブル崩壊と近似なのであるが、問題は日本のバブルが金融機関がその損益を明白に出来るシステムだったのに対して、米国発の今回の金融危機の場合、負債が証券化という形をとっていることで「見えない」し「明白にすることが困難」だという事だ。本来相対取引であるべきものが、第三者を関与させ分散することで不透明になったというわけである。
 利益が確定できぬのと同様に損金も確定できぬ方式が、市場に疑心暗鬼を生む。その金融危機がビッグ3を直撃する。第一、このビッグ3が「財務テクノロジー」の道具として、本業以外に「投資」として、そうした証券化商品に手を出しているとしたら、もはや何も言えないほどの見事な自業自得としか言えないのである。
 三鷹市の街道の脇に、倒産した建設会社の自社ビルがあった。バブル崩壊直後である。その会社は本業の建築業だけではなく、ある時期「財テク会社」として有名であった。ところがバブル崩壊である。文字通り一夜にして資金繰りが悪化し倒産に至った。本業での収益以上に財テクでの収益があったようであるが、その収益はバブル崩壊に伴い泡と消えたわけだ。
 本業が悪化して倒産するなら、多くの社員は納得できるだろうが、本業以外の海のものとも山のものともつかぬ投機的投資を経営者が行い、結果として一夜にして倒産するという状態は納得できるものではない。経営者にとっては文字通り自業自得なのだが、それに付き合わされる社員やその家族にとってはたまったものではないのである。経営者が通常の社員よりも多くの金を受け取るのは、そうした社員やその家族に対する責任も負っているのである。
 ところで、米国の会社の役員成功報酬の馬鹿高さは、こうした社員やその家族への責任という点を考えても、過剰に受け取りすぎに見える。経営方針に従って実際の製品の作製やら販売を行うのは現場の人間であるし、その努力が結果として製品やらサービスの良好さを保つのである。そうした事を考えると、どう見ても米国の経営者の報酬は論外にしか見えないのだが・・・。
posted by たまどん at 08:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 能書き | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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